どもども!くまたんです🐻
みなさんは「裁判官」と聞くとどんなイメージを持たれますか?
「賢い」「優秀」「金持ち」「東大」などエリート中のエリートと思われる方も多いでしょう。
まさにその通りだと思います。
国家試験の中でも最難関といわれる司法試験を合格した彼らはまさにエリート中のエリートです。
ただ彼らも人間。
全ての裁判で万人が納得するような正しい判決を下せるとは限りません。
今回は私が大学在籍中に学んだ判例のなかでも「え!?これまじか!」と思うような仰天判決を5つご紹介します。
堂々とスカートを覗けば無罪!?
【事件内容】
男が人通りの多い駅の通路において、当時17歳の女子校生の後ろから四つん這いになった状態でスカートを覗き込んだ。
【判決】
男は人通りが多い中、四つん這いになって女子高生のスカートを覗くという常識的判断を欠いた突発的かつ衝動的な行為をしており、心神喪失状態にあったため無罪である。
・さいたま地裁平成26年8月19日判決
みなさんはこの判決どう思いますか?
男性の中には「え!女の子のスカートの中覗いてもいいの!」と喜ぶ人もいるでしょう。
ただ女性からすればスカートを覗いた男を罰することができないなんて不条理でしかありません。
スカートの中を覗いたのに無罪
一体なぜこのような仰天判決が下されたのでしょうか。
結論としては、判決で『人通りが多い中、四つん這いになって女性のスカートを覗くという、常識的判断を欠いた突発的、衝動的な行為をした』とあるように常識外の行動をしたために無罪となったのです。
この理由だけ聞くと「え?じゃあ俺も堂々とスカートの中を覗こう!」と考える人が出てくるかもしれません。
待ってください。
普通は堂々とスカートの中を覗けば捕まります。
この話にはまだ続きがあるんです。
実はこの男、精神遅滞や統合失調症といった日常生活で冷静な判断を欠いてしまう病気を持っていたのです。
そのため、この男には責任能力がないと判断され、無罪となったのです。
ですから
普通は堂々とスカートの中を覗けば捕まります。
ただ被害にあった女性からすればスカートを覗いた男が病気という理由で無罪になるのは、なんともやるせない気持ちのはずです。
病気だから無罪という法の原則に疑問を抱いた判決でした。
離婚はやめて青い鳥を探しなさい!
【事件内容】
夫は妻に対して「妻が気を失って倒れるまで殴りつけ、それに水をぶっかける」という程の暴力を振るったり、自分の思いどおりにならなければ、それらを全て妻や周囲のせいにして口汚く罵る。育児にも非協力的で、妻を「いじめ」てきた。
【判決】
夫に至らない点があったことは否定できない。しかし、いまなお妻との婚姻生活の継続は可能と考えられるから、妻と夫、殊に夫に対して最後の機会を与え、二人で何処を探しても見つからなかった青い鳥を身近に探すべく、じっくり腰を据えて真剣に気長に話し合うよう、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認め、本訴離婚の請求を棄却する次第である。
・名古屋地裁岡崎支部平成3年9月20日判決
この判例は法律関係者の間でも有名な「青い鳥判決」といわれています。
この裁判は「夫からの暴力に耐えることができないから離婚したい」と主張する妻と「妻のために仕事を頑張ってきたんだ、離婚は認めない」と主張する夫が真っ向から対立したものです。
そしてなんと裁判官は「二人で何処を探しても見つからなかった青い鳥を身近に探すべく」話し合いをしなさいというロマンチックな判決を下したのです。
この仰天判決が一躍有名にさせました。
妻からすれば暴力を振るう夫と離婚したいにも関わらず、何処にいるかも分からない青い鳥を一緒に探してこいと言われたんですから発狂ものです。
「デブ」と言うだけで刑務所
【事件内容】
男は女性に対してスナック店内において「おい、デブ!」「そんなに太ってどうするんだ」「ドラム缶みたいだな」などと侮辱発言を繰り返した。
【判決】
男の発言は、女性の人格を無視した卑劣極まりない言動である。よって29日間の拘留とする。
みなさんは誰かに対して「デブ」「太りすぎ」「痩せろ」などの発言をしたことはありませんか?
実はこの悪口を言うだけで刑務所に入ることになるかもしれないんです。
この事件もう少し詳しく説明すると、スナックで飲食中の市議会議員が、客として来ていた女性に対して「おい!デブ」などの暴言を吐き、注意されても反省するどころか更に暴言を加速させていったらしいです。
ただいくら許されない行為だったとしても悪口を言っただけで刑務所行きはどうなのでしょうか。
しかもこの男は酒に酔っていた状態。
これが当たり前になれば、世の酒に酔って悪口を吐いた男性は全員刑務所に行くこととなります。
この男性が市議会議員という公の立場であることを重くみたのかもしれませんが、もう少し軽い罰でもよかったのではと思ってしまう判決でした。
巨乳が邪魔したので無罪!
【事件内容】
女性は交際男性の家のドアを蹴り、蹴破った穴から通路内に入った
【判決】
審理の結果、胸囲が101センチで、背中から乳首までの距離が29センチある被告人は、横24センチのドアにある穴をくぐり抜けることはできなかったと判断する。この結果や他の証拠をみると女性が有罪であるとは証明できない。よって女性は無罪
この判決が出た当時はニュースや新聞などで大いに賑わいました。
各メディアは一面でこのように書きました。
おっぱいの大きさで無罪!
この事件は一審判決では「ドアをくぐり抜けることは可能である」とされ女性は有罪となっています。
しかし、後の高裁判決では逆転無罪となったのです。
なぜなのか
何度も言いますが
おっぱいの大きさで無罪!
詳しくは、胸囲101センチで背中から乳首までの距離が29センチの彼女が約24センチの穴を通り抜けることはできないため器物破損も住居侵入罪も認められず無罪となりました。
ペシッ
胴上げに参加したら罰金!
【事件内容】
男性は、上司の定年退職会において、上司を胴上げし、誤って落下させた。その結果、上司は死亡した。
【判決】
胴上げに失敗した男性は有罪。罰金10万円
みなさんは胴上げをしたことはありますか?
実はこの胴上げ意外に事故に繋がりやすいんです。
大体胴上げをすると高さ2メートルくらいまで上がりますから、誤って落ちれば大変なことになります。
この事件は定年退職会で酒に酔った男性3人が上司の胴上げに失敗し、その時の怪我が原因で死亡したものです。
もちろん故意ではありませんが、1人の命を奪ってしまったことに変わりはありません。
罰金10万円は遺族からすれば少ない気はするものの、有罪は妥当な判決であると思います。
他人ごとのように聞こえるかもしれませんが、胴上げによる事故は毎年多く起こっています。
中には今回のような死亡事故もあります。
みなさんも酒に酔ったり安易な気持ちで胴上げに参加することは絶対にやめましょう。
おわりに
ここまで私が気になった判決を5つご紹介してきました。
他にも判例を調べてみると仰天するような判決がたくさんあります。
みなさんも1度調べてみてはいかがでしょうか。
参考までに今回の判例が紹介されている本をご紹介します。
48個の面白い判例が紹介されているのでぜひ読んでみてください!