どもども!くまたんです🐻
今回ご紹介するのは小国士郎著『注文をまちがえる料理店』(あさ出版)です。
みなさんは「注文を間違える料理店」ときいてどう思いますか?
「注文をまちがえる料理店」は名前の通り少し変わったレストランです。
この料理店を企画した著者は「このお店では、注文した料理がきちんと届くかは誰にもわかりません」といいます。
なぜか
それは注文を取るスタッフがみんな認知症であるから。
そのため、ハンバーグを頼んでも餃子が出てくる可能性があります。
熱いコーヒーにストローがついてくるなんてこともあります。
不思議なことに、このお店で怒るお客さんはいません。
みんな間違えられたとしてもニコニコと笑っているのです。
そこには「間違えを受け入れてみんなで楽しむ」という想いがあるため。
著者は介護の現場を取材している時に間違えを共に楽しむという取り組みを思いついたそうです。
そして「間違えを受け入れてみんなで楽しむ」という想いが、そのままこの料理店の実現に繋がりました。
実際に宮沢賢治の「注文の多い料理店」を題材にした「注文をまちがえる料理店」は、試験的に2日間だけプレオープンしました。
営業時間は11時から15時までの4時間で、普通のレストランと比べると短いです。
理由は認知症は状態が進行すると、通常の人と比べて疲労が溜まりやすいため
この日働いたスタッフの中には認知症と疲労で自信をなくし、落ち込む人も多かったそうです。
しかし「間違えても大丈夫」という場所で働くことで、すぐに立ち直ることができたとのこと
そしてプレオープン時には著者の予想をはるかに超える反響を呼び、日本国内だけでなく世界20カ国を超えるメディアから取材依頼がきました。
もちろん注文の間違いはたくさん起こったけども、お客さんはみんなその間違いを怒ることもなく、楽しみました。
正直、この企画が認知症という病気を解決する糸口になるわけではありません。
ただ私は本書を読んで「認知症は本当に病気なのだろうか」という疑問がふと浮かびました。
間違えることや忘れることってそんなに叱責されなければいけいないことなんでしょうか
むしろそれらを叱責する私たち社会に問題があるのではないのか
本書ではお店で働く認知症のスタッフだけでなく、彼らを支えるケースワーカーや家族の視点からも描かれいます。
今後、超高齢社会を迎える日本の社会福祉に対する考えに一石を投じるとともに、人々の温かい気持ちを感じることのできる一冊でした。